南イタリア遠征記
〜グランブルーの青い海と俊輔に逢いたくて〜

☆タオルミーナ編☆後編



★タオルミーナの朝ごはん
4月21日水曜日。晴れ。
風邪薬を飲んでぐっすり寝たので、お目覚めは超爽やか。今日は元気に過ごせそうだ。
レストランで朝食を取るために、うさこさんと一緒に階下へ降りていく。ゆったりとしたサロンの奥に天井まで窓の明るい開放的なレストランがあり、扉の向こうには広いテラス。天気が良かったので迷わずテラスへ出て、コーナーの特等席を陣取った。

眩しい朝日が白いテーブルクロスに降り注ぐ。目の前は真っ青な海。遥か下のキラキラと輝く穏やかな海面を小船が滑るように進んでいく。時折海風が吹いてきて頬をなでる。朝のひんやりした空気が気持ちいい。ああ、こんなステキな場所で朝食を取れるなんて夢みたいだ。

このホテルもバイキング形式で、種類はなかなか豊富だった。3つ星なのに制服を着たボーイさんが給仕してくれてリッチな気分を満喫。美しい景色を眺めながらの美味しい朝食。これだけでも、ここに泊まる価値は十分にあると思う。今回のイタリア旅行中、最高の朝ごはんだった。〔写真11〜13〕



★市民公園
恐ろしく天気が良いので日焼け止めをバッチリ塗って観光開始。やっと南イタリアらしい陽気になってきた。今まで妙に肌寒かったので、それだけでウキウキしてしまう。

例の近道を通ってウンベルト大通りに向かう途中で市民公園を発見。
中に入ってみると冒険映画に出てくる少年達の秘密基地みたいな石造りの建造物が点在している。誰が住んでいるわけでもなく、鳥さんたちのパラダイスと化しているのだけど、なんだかちょっと不思議な雰囲気。
園内には手入れの行き届いた花壇や噴水があり、地元民や旅行者がジョギングや散歩を楽しんでいる。ずんずん奥に進んでいくと、突き当たりはテラス状の造りになっていて、エトナ山と海を見渡せる絶好の展望が開けていた。この公園、観光で歩き疲れたときの休憩にお勧めです。〔写真14〕



★シチリア名物のドルチェ
ホテルから近道を通ってウンベルト大通りまで抜けるルートをたどると、シチリア名物のドルチェ「フルッタ・デッラ・マルトラーナ」をウィンドーいっぱいに陳列しているお菓子屋さんの脇に出る。
このドルチェは野菜や果物の形を精巧にかたどったマジパンのお菓子で、あまりに良く出来ているため(木枠やバスケットの中に入れてあってディスプレイも凝っている)一瞬八百屋さんなのかと思ってしまうほどだ。
色も形もかわいいので御土産に最適とガイドブックには書いてあるが、実は卒倒しそうなくらい甘いらしい。いずれ腐ってしまうだろうから、いつまでも飾っておくわけにはいかない。もらった人も困るだろうし、自分自身も甘党ではないし、やはり買うのはやめておこう。〔写真15〕



★一目惚れしたピンクのグラス
4月9日広場を目指して歩いていた私達は、ある店の前で動けなくなってしまった。
しかし、心を奪われた商品はそれぞれ別のものだ。うさこさんは小指の先ほどの小さなガラスのカタツムリたち。私は赤紫というかピンクというか微妙な色合いの小振りのグラス。
あれで冷酒を飲んだら美味しそう。絶対に欲しいよ〜。しかし、どうやら水差しとグラス6個のセット売りらしい。値札を確かめたら、眩暈がしそうなくらいゼロが並んでいた。ムムム。

一旦は諦めてその場を離れたが、あちこち見てまわった帰り道にまた寄ってしまった。
うさこさんはカタツムリお買い上げを決意。店の奥でご主人が出してくれた山のようなカタツムリの中から気に入ったものを選んでいる。
私はウィンドーの前でしばらく悩んでいたが、思い切って店の奥さんにばら売りしてくれないかと申し出てみた。グラス2個だけ欲しいのだ。てか、それ以上は私のお財布では無理なのだ。とてもじゃないけどセットでは買えまへん。
英語は通じたけど、ばら売りはしてくれなかった。ちぇ。仕方ないので写真だけ撮って諦めた。〔写真16〕



★4月9日広場→噴水→スーパーマーケット
ウンベルト大通りの中ほどに位置する4月9日広場は大勢の人々で賑わっている。
ここは広場というよりも巨大なテラスという感じ。広場に面したカフェがずらっとテーブルを並べていて、みんな思い思いに寛いでいる。山側には古い時計塔や教会、海側には素晴らしいパノラマ。とても絵になる一角だ。高所恐怖症のうさこさんは海側の景色は楽しめなかったらしい・・・。

広場を通り過ぎて西にしばらく進むとカテドラーレ(大聖堂)と噴水がある。街のシンボル「女ケンタウロス像」が外向きに4体鎮座しているこのバロック様式の噴水は、映画グラン・ブルーのロケに使われた。夜中に水族館から連れ出したイルカにジョアンナが噴水の水を掛けるシーンがあるのだが、それがこの噴水だったそうだ。

ガイドブックによるとウンベルト大通りの西端にあるカターニア門の先にスーパーマーケットがあるらしい。親や友人から塩を御土産に頼まれていたので行ってみることにした。
なぜ塩かというと、シチリア島西端の町トラーパニには塩田があり、塩の生産で有名なのである。だからシチリアでは質の良い塩が安く手に入るはずである。
果たしてスーパーにはバラエティー豊かな塩が売られていたけど、どれも最低購入単位が1キロだった。そ、そんなにたくさん要りまへん。小さいサイズのおしゃれな卓上塩を幾つか買って帰るつもりだったのに、すっかり当てが外れてしまった。塩も諦めよう。(涙)〔写真17〕



★ギリシア劇場
さて、本日のメーンイベントその1はギリシア劇場見学だ。来た道を戻ってウンベルト大通りを東に進む。東端のメッシーナ門の手前にある広場を右に曲がり、土産物屋が連なるテアトロ通りという緩やかな坂道を10分ほど上っていくとギリシア劇場へたどり着く。観光客でごった返すチケット売り場で4.53ユーロという半端な値段のチケットを購入。

この野外劇場は紀元前3世紀にシラクーザの僭主ヒエロン二世によって造られ、その後ローマ風に改造されたそうな。
とりあえず岩山の斜面を巧く利用して造られた観客席の一番上を目指す。焦げそうな日差しを浴びながら階段を昇りつめて最上段で振り返ると、そこには息を呑むような雄大な眺めが広がっていた。右手に雪を頂くエトナ山、左手に穏やかなイオニア海、そして抜けるような青い空と白い雲。
舞台背後の崩れた壁から覗くそれらの景色を背景に、現在でも夏にはバレエや演劇が上演されているらしい。ああ、夏にもう一回来なくちゃ。

観客席最上段の向こうには、ちょっとした公園みたいなものがあって、そこからも素晴らしい景色を展望できる。というか、タオルミーナは岩山の急斜面に位置しているので、どこに行っても絶景ポイントだらけだ。当然のことながら、坂と階段も多い。

今度は観客席の下まで降りて舞台を見学。何故かT字型の深い大きな穴が開いている。いったい何のための穴だろう。
帰国してから調べたら、なんとローマ時代に「剣奴と猛獣の闘い」を見せるため、地下から猛獣をせり上げる装置を設けてあった跡だそうな。古代ローマの人々はそんな残酷な余興を楽しんでいたのかいな。恐ろしや〜。

途中うさこさんと離れて、一人でフラフラと劇場内を歩き回る。観光客もそれほど多くなく、周囲に誰もいない時にひんやりとした石壁の通路を歩いていると、古代にタイムスリップしたかのような錯覚を覚える。目を閉じると古代人の歓声が聞こえてくるようだ・・・。〔写真18〜20〕



★焼き物の御土産
ギリシア劇場からの帰り道、テアトロ通り沿いの土産物屋の一つに入った。陶器(マヨルカ焼き?)を専門に扱うお店で、明るい色調の焼き物が店内に所狭しと並べられている。
店の隅々まで見て回った結果、うさこさんも私も同じ商品をお土産に選んだ。それは飲みかけのボトルの栓(正式名称は何というのだろう?)。直径3〜4センチの薄い円盤状の焼き物の片面にコルク栓が付いていて、それを飲みかけのボトルに差し込むという優れもの。コルクが付いていない方の面には愛らしい植物が描かれている。

うさこさんは大量に買うから勉強してくれと交渉していたが、商品を一つ一つ丁寧に紙に包んでくれることで値下げをうやむやにされてしまった。手間をかけたんだから、まけられないということかしら。イタリア人のおばちゃん&お姉ちゃん店員の方が一枚上手のようだ。

私は同僚達への御土産は全員これで済ませてしまったのだけど、見た目がかわいらしく、しかも実用的だと皆に大好評だった。



★イソラベッラ(美しき島)
本日のメーンイベントその2はグラン・ブルーのロケでも使われたイソラベッラである。
まずはウンベルト大通りまで戻り、広場のバールでジェラートを買う。何か冷たいものを体に入れないとオーバーヒートしてしまいそうだ。
ジェラートをなめながらメッシーナ門を右に曲がり、海岸と高台の町を結ぶロープウェイ乗り場へ向かう。ロープウェイは15分間隔で運行していて、料金は片道1.55ユーロ、往復で2.58ユーロだ。往復チケットを買い、海岸から上がってきたロープウェイに乗り込む。腰から上は完全なガラス張り状態なので、うさこさんが恐がるかと心配したが、「乗り物は平気なの」と落ち着いている。私には良く分からない理屈だが、そういうものらしい。

10分ほど気持ちの良い見晴しを楽しむと海岸側の乗り場に到着。マッツァーロの海岸を目指してテクテクと歩き始める。
歩き始めてすぐに、交通量の多さにビビる私達。しかも、どの車もかなり飛ばしている。恐いよ〜。

途中のホテルらしき敷地からイソラベッラが見え隠れしていたのだけど、金網を張ってあって入ることが出来なかった。ケチ〜。それにしても、この辺りは高級リゾート地のはずなのに、浮き輪や麦藁帽子を売っている売店がどことなく九十九里浜チックで笑える。

海岸へ続く細い石段にはレストランの看板が出ていて、一瞬ここで良いのかしらと不安になったが、降りていく途中で突然イソラベッラが姿を現した。美しい入り江に緑の小島が優雅に浮かんでいる。あまりの美しさにシャッターを何枚も押す私達。少し落ち着きましょう。(笑)

階段を降り切ると、そこはマッツァーロの砂浜。白い砂、というより白い砂利(あまりに粒子が粗くて素足で歩くと痛そうだ)が太陽に反射していて物凄くまぶしい。海の水は全くの透明。とんでもなく澄んでいる。
ビーチには青いビーチベッドと青と白の縞のパラソルが並んでいて、気の早い欧米人3人娘が水着で体を焼いている。お嬢さんたち、肌が小麦色じゃなくて赤くなっているけど大丈夫?

ビーチの奥にはバールやレストランが並んでいる。まだシーズン前なので、バールの従業員達はとっても暇そうだ。ちょっとけだるい雰囲気。
そして入り江にはイソラベッラの緑の島影。潮が満ちていないので、この時間はイソラベッラまで砂の道が続いている。イタリア人らしき男の子3人がキャーキャー騒ぎながら水飛沫を上げている。さすがにこの時期、泳いでいるのは子供だけだ。
イソラベッラの先にある崖の上には、グラン・ブルーに出てきたホテル「カポ・タオルミーナ」が見える。

ずっと夢見てきた場所に、今、自分が立っているんだ・・・。
なんだか夢の中にいるようで現実感がない。熱に浮かされたようにフラフラしながら、目の前の景色を脳裏に焼き付けた。きっと一生、色あせないと思う。

ここは正にパラダイスなのだけど、とんでもなく暑い。私もうさこさんも干乾びてしまいそうなので、適当なところでビーチを引き上げることにした。
道路へ続く石段に戻る途中、例の3人娘の前を通ってギョッとした。まるでワニザメに皮を剥がれた因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)状態だ。これ以上焼くとケロイド状になっちゃうよ。どうして欧米人はこういう無茶な焼き方をするのかしら。皮膚癌になっても知らないぞ。〔写真21〜23〕



★カポ・タオルミーナでランチ
本日のメーンイベントその3は、グラン・ブルーに出てくるカポ・タオルミーナの崖っぷちのレストランで海の幸のパスタを食べることだ。

カポ・タオルミーナまで少々距離がありそうだが、タクシー代をケチって根性で歩いていくことにした。ホテルまでの道のりは、ひたすら崖沿いの道路を歩いていく。うさこさんにとっては地獄の行路。特に断崖の岩山をくり貫いて作ったトンネル脇の道は、見晴しが良すぎてうさこさん真っ青。
しかし、この道はイソラベッラの絶好の撮影ポイントだ。ガイドブックの写真もここから撮影したものと思われる。これからイソラベッラを訪れる予定の人は、絶対にここから写真を撮るべし。

汗だくになりながら、ようやくカポ・タオルミーナに到着。ホテル正面の門の前からは美しいエトナ山がばっちり拝める。さすが高級ホテル、ロケーションが素晴らしい。

人気のないロビーを通り抜け、海の方角を目指してウロウロする。それにしても巨大なホテルだこと。ホテル内の施設の案内矢印も四方八方向いている。うちらの泊まっているこぢんまりとした家族経営のホテルとは大違いだ。私はどちらかというと規模の小さいホテルの方が好きだけど。

しばらくしてレストランらしきものを発見。海沿いのテラス席では、大きな白いパラソルが海風に揺れている。
「キャー!ここだわ〜!」と感激したのも束の間、「ここはバーです。夕方にならないとオープンしません」と言われてしまった。どうやらレストランは下の階にあるらしい。どうでもいいけど、ここの従業員のお兄さん二人は超イケメンだった♪

再び迷子になりそうになりながら、何とかレストランの入り口を発見。既に2時なのでランチは終わっているかもしれないと覚悟したが、まだ大丈夫だというので席に案内してもらった。黒服をびしっと着こなした従業員が窓際の席に通してくれたけど、あれれ?このレストラン、テラス席がないぞ!?

うさこさんと顔を見合わせて、しばし呆然。これはいったい、どういうこと?
しかし、今さら食事しないとは言えず、泣く泣くメニューに目を通す私達。しかも、たかがランチで一皿こんな値段とは・・・。パスタを一皿ずつオーダーして注文終了。料理を待つ間、虚ろな目で窓の外の海を見つめる。確かにここも眺めは良い。だけど、だけど、だけど、、、、

ここじゃないのよ〜!!!
映画と同じ崖っぷちのテラス・レストランで、海の幸のパスタを食べるはずだったのよ〜!

何が敗因だったのか、うさこさんと考えた。このホテルは大きいので、きっと他にもレストランがあったはずだ。
だけど、バーのお兄ちゃんたちは、このレストランを教えてきた。ガイドブックにはシーズン前はホテル内の施設の半分以上が閉まっていると書いてある。
もしかしたら例のレストランは夏しかオープンしていないのかもしれない。悲しい・・・。
ホテルのゲストのみが食事をとれるらしいと書いてある本もある。だとしたら、もっと悲しい・・・。だって、このホテルは高いので、もう一度タオルミーナに来ることがあっても泊まることはないだろうから。

気分が沈みがちだったが、出てきたパスタはめちゃくちゃ美味しかった。良かった。これで不味かったら暴れるところだった。うさこさんはファルファッレのカルボナーラ風が特に印象に残ったそうだ。

レストランの客は私達以外にはイタリア人男性二人に女性一人の三人組がいただけだったが、彼らが出て行くと、従業員達はあからさまに私達に早く食事を終えて欲しいというシグナルを送ってきた。勘定をカード払いにすると、「面倒くさいな。現金じゃないのかよ」というふうに溜息をつかれた。
昼休み直前に来た私達も悪いのかもしれないけど、その態度はないんじゃない?感じ悪いなあ。代金はパスタと水だけで、二人で39.5ユーロ。物価の安い南イタリアで、この金額はあり得な〜い!

昼食後、せっかくなので記念にカポ・タオルミーナの豪華なレストランやロビー等を写真に収める。一通り撮影会が終了したので、来た道を再び歩いて戻ることにした。
トンネル脇の道に来ると、さっきとは海の色が微妙に違う。青が更に濃くなっている。海は太陽の位置に拠って刻々と色を変えていく。一日中眺めていても飽きないだろうな。安全な場所から眺めていないと、うさこさんは気絶しそうだけど。

ぶんぶん飛ばす車に怯えながらも、無事にロープウェイ乗り場にたどり着いた。水をがぶ飲みしながらロープウェイが下がってくるのを待つ。
このあと恐怖の出来事が待ち受けているとは、うさこさんは知る由もなかった。〔写真24〜26〕



<うさこの冷や汗クリア> 高いところ対決
私の最大の弱点、高所恐怖症。
飛行機や高層ビルなど遮るものがあればなんともないのに、ひとたびそれが取り払われると恐怖のどん底。

そんな私にとって、4月9日広場は恐怖そのものだった。
タオルミーナは岩場の崖に作られた街なので、曲がりくねった道の横は、海に向かってまっすぐにすべり落ちるような、切り立った崖になっているところが多い。
ここはきれいなテラスの広場で見晴しも最高、すっかり油断をしてのんびり写真などとっていたが、ふと下を見ると手すりの向こうは、おそろしい絶壁である。それも、岩がむき出しの、ロッククライミングには最適かと思うような・・・・。
海は遥か下に。

うっかり覗いてしまった私がバカでした。すーっと顔から血の気が引いて、ひざと背中にかけて、高所恐怖症独特の拒絶反応が走る。といっても、平気な方には全然理解できない感覚だと思うんですけど。
気持ちはそれほど「コワイ」という感じではないのに、膝から下がしびれてしまうのだ。しびれるというより、力が入らず、ふくらはぎを血液だけが逆流している感じ。(ここが勝負!のPKはこんな感じに違いない)

自分だけじゃなくて、他の人が崖に近寄って行くのだって足がすくむ。
それなのに、それなのに・・・・。リーメイさんったら、「私、高いところ大好きなんですよ〜」とカメラ片手に手すりから乗り出さんばかりである。
ぎゃ〜、やめてえ。私を許して〜。(泣)
  
その後も、ギリシア劇場の見晴し台とか、カポ・タオルミーナへの崖道とか、拷問のような崖っぷちが、これでもか、これでもかと現れる。
次々と表情を変える青色の海見たさに、崖に寄ってはみるが、もうクラクラ。
まあ、だからこそ、これだけ美しい景観が満喫できるんですけど・・・。

極めつけは、帰り道のロープウェイ。「乗り物なら高くてもだいじょうぶ〜」とほっとしていたら、突然ゴトンと崖の中腹で止まってしまった。
こんなところで降りることになったら・・・。縄梯子とか想像して、恐怖で顔が引きつる。
新聞にのるであろう、救出シーンの写真まで浮かぶ。助け出された時のコメントまでグルグル。

冗談じゃないよ〜。

さいわい、数分で動き始めたのだが、こちらはもう心臓がバクバクものだっだ。
係員さんおねがいしますよ〜。まじめにやってね。〔写真27〕



★現金払いのお店
歩き疲れて足が棒だったはずなのに、ウンベルト大通りに戻ると再び元気になってお店を冷やかし始める私達。この通りに来ると、なんかワクワク、ウキウキしてしまうのだ。幸いホンジャマカにはあれきり遭遇していない。良かった、良かった。

ちょっとセンスのいいアートなお店を見つけて中に入ってみた。広い店内は御土産に最適な小物から、大きいサイズの絵画や壷まで品揃えが豊富だ。隅々まで見て回って、うさこさんは魚の形をしたターコイズのペンダントヘッド、私はかわいい素焼きの動物の風鈴2個(姪っ子たちへの御土産)を購入。

しかし、こんなに大きなお店なのに、なんとカードは受け付けていないという。ということは、何千ユーロもする絵画を買うときも現金オンリーなの?! カード社会の欧米で、カードが使えないとは驚きだ。それともイタリアは他の欧米諸国とは少々事情が違うのかしら。現金主義にはビックリしたけど、アラブ系男性オーナーは物腰の柔らかい対応でとても親切だった。



★ホテル『サンドメニコ・パレス』
せっかくだからグラン・ブルーの舞台になったもう一つのホテル『サンドメニコ・パレス』を覗いてみようということになった。映画に出てくる明るいガラスの回廊と、花が咲き乱れる美しい中庭を見てみたい。

ウンベルト大通り沿いのカテドラーレと噴水のある広場を海の方角に下りていくと、サンドメニコ修道院の建物をそのままホテルに転用した『サンドメニコ・パレス』の前に出る。
元修道院だけあって古い分厚い石壁が広大な敷地を囲み、小さな門の両側にはブロンズの聖人像がはめ込まれている。あまりにホテルらしからぬ門構えに、本当にここでいいのだろうかと一瞬戸惑った。

門の内側は手入れの行き届いた緑の植え込みがあり、奥にホテルのエントランスがある。
ホテルの内部を探検するつもりでいたのだけど、ガラスの扉の内側から、「いかにも最高級ホテルの従業員です」という感じの黒服のおじ様がこちらをいぶかしげに伺っている。宿泊客じゃない人は気軽に入れない雰囲気だ。
あんな恐い顔で入り口に張り付いていられたら潜り込めないよ〜。「映画のお陰でミーハーな日本人が押しかけてくるようになって困ったもんだ。また変なのが来たよ」と思われていそう・・・。私達にしては珍しく気後れしてしまって、結局エントランス付近の写真だけ撮って引き上げた。

それでも未練たらたらの私達は、広大な敷地の外側をぐるりと回って内部を覗くポイントを探すことに。
だけど石壁の塀が高くて中の様子は伺えない。水をパシャパシャする音が聞こえたときに、かろうじて向こう側がプールだと想像できたくらいだ。宿泊客のプライバシーは完全に守られている。さすが世界中のセレブが集う5つ星ホテルだけある。

ところが、エントランスの反対側の位置で塀の壁面に小さな入り口を発見。
ここから中に入れるかも!? 石段を登って小さな門をくぐり、控えめに中を覗いてみた。
真っ先に目に入ってきたのは、これから洗濯するリネン類の山と黒いゴミ袋の山。搬入トラックが忙しく行き来していたり、メイドさんたちが慌しく大きな容器を運んだりしている。どうやら従業員専用の裏口らしい。
ここから中に入ったら間違いなく呼び止められそうだ。現にゴミ係のおじさんが「なんか用か?」という感じでこちらを見ている。やっぱり潜入は無理か。諦めよう。(涙)

『カポ・タオルミーナ』以上に、今後このホテルに泊まることはないだろうなあ。だってこのホテル、一番安い部屋で一泊4万円以上したはず。貧乏人には無縁なり。疲れた足を引きずって、自分たちの泊まる3つ星ホテルに戻った。〔写真28〕



★安くて美味しいディナー
今日はたくさん歩いたから、たくさん食べるぞ! 
体調の悪かった昨夜の分も取り戻さなくちゃ!(十分に食べていたという噂もあるけど)

どこで食べようかと店の外のメニューを見比べていたら、あるお店でメガネをかけた店員に招き入れられたので、そのまま店の中に入ってみた。何故か万国旗が天井に飾られていて、入り口のすぐ側にはクラッシュアイスの上に新鮮な魚介類がディスプレイされている。食べたい魚をそこで選ぶことが出来るみたい。陽気で気軽なトラットリアという感じで、いい選択だったかも。

今宵オーダーしたのは、ピッツァ・マルゲリータ、ムール貝のスープ、赤唐辛子のシンプルなスパゲティ、そして白ワイン。
どれもこれも頬っぺたが落ちちゃうくらい美味しかった。特にムール貝のスープは涙もの。
うにさんの旅行記にも登場したムール貝のスープは、うにさんの記述どおり“ムール貝のてんこ盛り”だった。「あの〜、スープはどこですか?」というくらい、皿の上にムール貝が積み重なっていて圧巻である。

貝も旨かったけど、下に隠れているスープもこれまた旨くて、一滴残らずパンですくい取った。ピッツァ・マルゲリータも赤唐辛子のスパゲティも信じられない量だったけど、信じられない勢いで食べつくす私達。
ワインも進むこと、進むこと。見事に間食したあとはカプチーノを追加で注文。テーブルに届けられたカプチーノは、泡の上にココアパウダーでハートが描かれていた。きゃあ、かわいい!!!
驚いたことに、これだけ食べて飲んで、カポ・タオルミーナのランチとほぼ同額。大満足で超満員のトラットリアを後にした。〔写真29、30〕



★これぞ南イタリアのホスピタリティ?
4月22日木曜日。快晴。
今日も朝日の眩しいテラスで幸せな朝ごはんを食していると、給仕係の男性が私達の旅の予定を尋ねてきた。
午前中にチェックアウトしてレッジョに向かうことを告げると、「どうしてタオルミーナでもっとゆっくりしていかないの?ここはステキな場所でしょ?」と落胆した顔をしてみせる。
「私達はレッジーナのナカムラの大ファンなの。ナカムラの試合を観るためにレッジョへ行くんだよ」とはしゃぐ私達に「じゃあ、試合が終わったら、またタオルミーナに戻っておいで。待っているよ」と嬉しいことをいう給仕係。とても人懐こい男性で、しばらく楽しいおしゃべりを楽しんだ。

ゆっくりと時間を掛けて朝食を取った後で部屋に戻ろうとしたところ、サロンで先ほどの給仕係がまた話しかけてきた。私達に自分の名刺を渡したかったみたいだ。
もらった名刺によると、彼の名前はセバスティアーノ。セバスティアーノは私達がカメラを持っているのを見ると、記念に一緒に写真を撮ろうと言ってきた。断る理由は何もないので、それぞれ2ショット写真を撮ることに。

まずは私の番。普通に隣に立ったら、すかさず私の腰に手を回し、自分の頬を私の頬にくっつけてきた。しかし、とてもさり気なくて、全然いやらしくないのだ。写真を撮ったあとは、両頬を片方ずつ合わせるイタリア式の挨拶。わーい、初めてイタリア式の挨拶をしちゃった♪

次はうさこさんの番。
な、な、なんと、セバスティアーノは、今度はイスに腰掛けると、膝の上にうさこさんを招き寄せた。「え、ええ!?ちょっと、うそ!」と言いながらも、素直に膝の上に座るうさこさん。
そのうさこさんを背後から抱き寄せるセバスティアーノ。うさこさん、キャーキャー大騒ぎ。
それにしても、なんて大胆なポーズかしら。セバスティアーノのお目当ては、うさこさんだったのね。うさこさんもセバスティアーノも最高の笑顔で、一生忘れられない写真となるはずだったのに、私の腕が悪くて妙に暗い写真となってしまった。ごめんなさい。

うさこさんともイタリア式の挨拶を済ませたセバスティアーノは「絶対にまたタオルミーナに来て、このホテルに泊まってね」と念を押す。女性宿泊客には、いつもこんなサービスをしているのかな。いやあ、なんとも南イタリアらしいホスピタリティに大感激。と同時に思わず笑ってしまった。次に来るときは別のホテルに泊まったとしても、2ショット写真を持って必ず会いに来るよ、セバスティアーノ。〔写真31〕



<うさこのウォームアップ> タオルミーナのホテル探し
今回の旅行、リーメイさんにおんぶに抱っこ〜、と気楽に決めてしまった私だが、意外に楽しかったのが、移動手段をどうするか、ホテルはどこにするか、いろいろ悩んだこと。

パレルモとアグリジェントは決めておいた方がよかろう、ということでリーメイさんが選んで下さったところに落ち着いていたが、あとは、現地に着いてからゆっくり考えよう、ということで意見が一致。
出発前は何かと慌ただしいし、コンファームも直前ではちゃんととれるか疑わしいし。できれば、現地で情報をもらえればラッキーだという考えもあって。一応、こちらで情報は仕入れ、ある程度の候補にしぼってリストアップしていくことにして、ネットであれこれ検索開始。
というのも、主なガイドブックにのっているのは、4つ星、5つ星の有名どころばかり。予算だってばかにならない。グラン・ブルーの舞台になったところは、あまり評判がはかばかしくないし。できれば、2つ星、3つ星ぐらいで、こじんまりとした、くつろげるホテルがいいわね、とリーメイさんと話し合っていたのでした。

調べてみると、これが、案外出てくる、出てくる。感じのいいホテルがたくさんあります。部屋も快適そう。
ただ、問題はロケーション。正味の滞在時間は1日半なので、効率良く移動できるところにしたい。

タオルミーナって、どれくらいの広さの町なんだろう??バスで着くわけだから、バスターミナルからの距離も気になる。ガイドブックの地図と見比べながら、ホテルの位置を当てはめて検討。
グラン・ブルーの崖の上のホテル「カポ・タオルミーナ」だけが、やけに街の中心から外れている感じ。
さらに、出発直前になって、旅行会社でパートをしている友達が以前、ご両親を連れてシチリア旅行をしたという話を思い出した。なんで、もっと早く思い出さなかったのかしら。

さっそく連絡してみると、彼女はお年寄り同伴だったので、完全にツアーだったとのこと。けれど会社の資料を調べてくれて、出発前日、会社帰りにお茶して、話を聞かせてもらうことになった。(持つべきものは、友達です。感謝)
彼女の話では、タオルミーナは小さな町で、1日あればかなり回れるらしい。メインストリートから海辺までもそんなに時間はかからないから、どこのホテルでもそう不便はないだろうと教えてくれた。
彼女たちの泊まったホテルは、町中の4つ星だったらしいが、ちょっと観光ホテルっぽかったとか。ツアーだったのでホテル前までバスで乗り付けたそうで、バスターミナルのことは知らないという。

遠いとちょっと問題かなあ。いくつか調べてきてくれた中で、場所、料金が折り合う5つほど、(私たちが調べたのと重なったものもあり)リーメイさんと相談の上、候補リストに入れることにした。
案外ネックだったのは、3泊以上に限る、という条件。やっぱりリゾートは長期滞在じゃないと、ということかしら。(そんなことしてたら、木曜にあるらしいレッジーナの紅白戦が見られないじゃん!)

もっとも電話してみたらOKということもあったのかも。結局、アグリジェントでの電話のハプニングもあって、第一候補のヴィッラ・ベルベデーレではなく(三ツ星なのにプールがあって、プールサイドで食事を取れるらしい)、ベル・ソッジョルノを予約したのだが、これが行ってみたら、ロケーション(最後の日の散歩で分かったのだが、「近道」行かずにまっすぐ進めば、ロープウェイの「上の駅」へも15分ぐらい)といい、眺望といい、街の喧噪から少し離れた環境といい、理想的。(門から玄関まで、急坂を「荷物ゴロゴロ」がちょっとたいへんだったけど)

宿泊料もお手ごろで、応対もフレンドリーで、とても感じが良かった。でも、タオルミーナには、小さくて感じのいいホテルが点在しているので、探せばまだまだ掘り出し物がありそう。
ただ、夕方到着だったので、「着いてからインフォメーションで聞いて」という案はやめておいてよかったと思いました。坂道を大荷物持ってウロウロというのは、ちょっとね。



★さよならタオルミーナ
朝食後うさこさんは散歩に出かけたが、私にはやらなければならないことがあった。それは和食の差し入れと一緒に俊輔に渡す手紙を完成させること。日本にいる頃から文面を考えていたのに、まだ内容がまとまらない。今日の午後にはサンタガタに行くのだ。早く書き上げなくちゃ。
しかし、焦れば焦るほど支離滅裂になってくる。伝えたいことがたくさんありすぎて長くなってしまう。結局2時間唸っただけで、ほとんど進まず。仕方ない。あとはバスの中で考えよう。

散歩から戻ったうさこさんは、バスターミナルで必要な情報を調べてきてくれていた。
いつもいつも、すんまへん。荷物をまとめ、チェックアウトして、フロントのお兄ちゃんに別れを告げる。快適な滞在をありがとう。

バスターミナルまではタクシーを使わず、頑張って歩いて行くことにした。
ある程度土地勘も出来たし、重い荷物を持っていても何とかたどり着けるはず。いろは坂のような曲がりくねった坂道を、スーツケースを押したり引っ張ったりしながら、えっちらおっちら上っていく。

今日も日差しの強さが半端じゃない。日射病にならないように所々日陰で小休止しては、また気合を入れて前進の繰り返し。途中で一台の乗用車が小さくクラクションを鳴らして私の前で止まり、男性ドライバーが「乗りなよ!」というふうに後部座席を指した。ありがたい申し出だけど、気持ちだけ受け取っておくわ。笑顔で首を振ると、向こうも笑顔で手を振りながら去っていった。

ホテルを出てから約20分かけてバスターミナルに到着。
メッシーナ行きのプルマンのチケットを購入し(担当:うさこさん)バスの到着を待つ。因みにチケット代は2.6ユーロ。毎度毎度、安さに驚く。
程なくバスがやって来たので、スーツケースをバスの胴体に押し込み、冷房の効いた車内に逃げ込む。ふう、生き返るようだ。メッシーナ行きのプルマンは、前の方の座席は比較的詰まっているが、半分から後はガラガラだった。

やがて発車時刻(午前10時半)が来て、バスはゆっくりとターミナルを出発した。お昼前にはメッシーナに到着するだろう。
さよなら、タオルミーナ。とっても、とっても、楽しかったよ。


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