南イタリア遠征記
〜グランブルーの青い海と俊輔に逢いたくて〜

☆レッジョ編☆第三日目☆2



☆国営放送のレッジョ紹介番組
出発前AQUARIUSの掲示板に4月24日午後4時からRAI(イタリア国営放送)で放映される旅情報番組でレッジョが紹介される予定だというchieさんの書き込みがあった。しかも俊輔のインタビューも流れるという。

これは絶対に録画せねばとレッジョまでビデオテープを持参したのだけど、Jに「もしかしたら日本のテープじゃ録画できないんじゃない?」と指摘された。
そうだよ。そうだったよ。いつも仕事で海外から持ち込んだテープが日本で見られなくてパル方式からNTSCに変換しているのに、何でそんな当り前のことに気付かなかったんだろう。

じゃあ電気屋さんでイタリアのビデオテープを買ってくれば大丈夫かしらと考えを巡らせていたが、事はそれ以前の問題だった。なにせ、ホテルの部屋にあったテレビ番組表にそれらしいものがないし、誰に聞いてもそんな番組は知らないと言うのである。うさこさんがホテル従業員やレッジーナの関係者に情報収集してくれたが、結局は何も分からずじまいだった。

何時からどのチャンネルで放映されるのかが分からなければ、ミラマーレのフロントでビデオに録画してほしいと頼むこともできない。途方にくれた私たちは、その時間に放映されている番組を片っ端からチェックしていって、その番組を見つけ次第うさこさんのビデオカメラでテレビ画面を撮影するという原始的な手段に出ることにした。

練習場から戻るとすぐに、私の部屋のテレビの前にビデオカメラを設置。サンタガタでは役立たずだったうさこさんの三脚がここに来て日の目を見ることに。
ビデオカメラのモニターに映ったテレビ画面には、かなりひどい干渉縞が出る。うーん、ちょっと見難いけど仕方ないか。これしか方法がないものね。

撮影準備が整ったので、うさこさんがお昼を買いに行ってくれることになった。私は迷わず昨日ホテルの裏の店で買ったモッツァレラチーズとトマトのパニーニをリクエスト。だって、あれ、死ぬほど美味しかったんだもん♪

うさこさんが買出しに出ている間、チャンネルをあちこち変えて番組チェックを繰り返すが、まだそれらしきものはやっていない。
30分近く経ってうさこさんが戻ってきた。随分と時間がかかったなと思っていたら、裏の店にモッツァレラとトマトのパニーニがなかったのでガリバルディ通りのバールまで遠征してくれたそうだ。しかも、その店にも希望の品がなかったので、わざわざ店のお兄さんにリクエストして作ってもらったのだとか。

ひゃ〜、私は好き嫌いがないから何でも良かったのに、お手数おかけして申し訳ない! 昨日のとは一味違うホットサンド風のパニーニで、こちらもとても美味しかった。一緒に買ってきてくれたアランチーニも空腹のため一気に胃袋に収納する。はぁ〜、満足、満足。

お腹が一杯になって満足したので、カプチーノをすすりながら再びチャンネルチェックに精を出す。RAIともう一つ発見したレッジョのローカル放送2局のチャンネルを小まめに行ったり来たりする。
でも、テレビ討論会みたいな番組とか、メロドラマとか、料理番組ばかりが続く。そうこうしているうちに2時になり、3時になり、でも目当ての番組はいっこうに始まらない。いい加減なイタリアのことだから放映日が変更になった可能性も考えられる。もしかしたら、私たち無駄な努力をしているのかも・・・。

待ちくたびれて退屈してしまったうさこさんは買い物に出かけてしまった。まあ始まったらビデオカメラのスイッチを入れるだけだから、二人してスタンバイしている必要はないよね。普段は比較的諦めの早い私だが、この時だけは何故か諦めたくなかった。意地になって一人リモコンを握り締めてテレビの前で粘り続けた。

4時過ぎても番組を発見できず「もうやーめた!」とリモコンを放り投げたその時、テレビ画面に見覚えのある白亜のドゥオーモが映し出された。
あれ?これってレッジョのドゥオーモじゃない!?
慌ててビデオカメラのスイッチを入れる。結局4時からRAIというchieさんの情報が正しかったのだ。レッジョの人たちがもっと自分たちのことに興味を持ってくれていれば、こんなに苦労しなくてすんだのにー! どうして誰もこの番組のことを知らないんだよー!

番組は名産品のベルガモットや国立博物館に展示されているリアーチェのブロンズ像など、私にとってはどうでもいいこと(失礼!)を取り上げた後に、お待ち兼ねのレッジーナの紹介になった。

まずは俊輔が活躍した試合のハイライトシーンが流れる。その後、白いスーツを着た長い黒髪の女性レポーターが練習場で選手と会長に取材。コッツァ、ミケたん、フォーティ会長、最後に俊輔の順で紹介される。
この女性レポーター、俊輔だけ肩や背中を触っているわ!(ぷんぷん)

フェロモン過剰気味のレポーターに接近されて俊輔は恥ずかしそうに視線を落としている。
その後、レポーターと会長のにこやかなやり取り。途中でレッジーナがセリエA昇格を決めたときの映像が流れたので、今までのクラブの歴史を振り返っていた模様。
そしてコッツァ、カモレーゼと超どうでもいいインタビューが続いた後、再びレポーターは俊輔の元に。レポーターが質問している間、俊輔は手を後で組み、体を揺らし、視線を泳がせ落ち着かない。レポーターとは反対側をずっと見ているので姉ちゃんが嫌なのかと思ったら、そっち側には通訳のゴローちゃんがいた。

レポーターの長い質問の後、俊輔は日本語で「サッカーはこっちの方が熱いですね」と答えた。俊輔はたった一言しかしゃべっていないのに、不思議なことにゴローちゃんは3倍くらいの長さをしゃべっている。あまりにも言葉が少ないので、いろいろ補ってくれていたんだね。ゴローちゃん、お疲れさま。

またしてもレポーターが肩に手を乗せてきたので、俊輔は恥ずかしそうにうつむいたまま、居心地悪そうにニッと笑う。俊輔かわいいな〜。
この後は会長がお気に入りの俊輔のことを褒めちぎっていたと思われる。イタリア語が分からないので想像だけど。

場面が変わってルンゴマーレ。City News Web TVでお馴染みのゆげたかし氏が女性アシスタント(?)とレッジーナのマフラーを振りながらサポーターズソングをノリノリで合唱。ゆげ氏が「ナカムラは日本とレッジョの架け橋になっている」みたいなことを言っていて、お笑いコンビのレッジョのトニー&ジローがギターをかき鳴らしながらナカ・ソングを熱唱。最後は俊輔のVTRで終わり、という内容だった。

俊輔の扱いはレッジーナの中の誰よりも大きかったばかりでなく、ベルガモットよりも、リアーチェのブロンズ像よりも大きかった。凄いぞ俊輔!
俊輔が大々的に取り上げられた喜びと、番組のビデオカメラ撮影に成功した喜びとで、私は一人で飛び跳ねながらガッツポーズを繰り返していた。



<うさこのベンチサイド> ブルーな散歩
練習場から戻り、テレビ番組でひと騒動繰り広げた後、体調が戻るまでホテルにいるというリーメイさんを残し、私はひとりで散歩に出た。去年は海岸通りとメインのガリバルディ通りぐらいしか歩けなかったので、今年はもう少し山側の道に足をのばしてみたいという気持ちもあった。

去年もいっぱい心配を抱えてのレッジョ入りだったが、あの時はすばらしい天気と真っ青な海が、そんな気持ちをすっかり吹き払ってくれた。けれども今年は、雨雲のたれ込めた空のように、重い気持ちで街を歩くことになった。練習場で目にした「俊輔リタイア」の事実が、ずっと心から離れずにいた。俊輔は今頃どんな気持ちでいるだろうと思うと、裏通りをさまよっていても、ジワジワと涙がこみ上げてくる。
自分が試合を見られないのはがまんできる。でも俊輔がこれ以上つらい気持ちになるのは耐えられなかった。行けるはずだったチェコ戦もだめになったんだもの・・・。

「こんな時、この街はどこまで俊輔をなぐさめてくれるのだろう??」
そう思いながら、ガリバルディ通りとは少し雰囲気の違った、生活感のある町並みに目をやっていた。小さいガソリンスタンドや、ドラッグストア、ペンキのはげた階段なんかをすがる思いで見つめていた。
去年は、ここまで来られたうれしさと、お仲間連れの楽しさでいっぱいで、暗い気持ちはこれっぽっちもなかった気がする。今回は、かなり厳しい状態を覚悟してのレッジョ入りだったが、自分がここまで落ち込むとは思っていなかった。励ましにきた人間が逆に落ち込んでどうするの!!そう思っても、なかなか気持ちは晴れない。

路上駐車の車でびっしりのマンション街や、海から少し離れた裏道をさまよううちに、いつの間にかアラゴン城という小さな要塞のようなお城の前に出ていた。木立に囲まれたその石造りの建物に、ちょっと気持ちが落ち着いた。なんだか日本のお城の石垣を見上げているような、不思議な安心感があった。
なんだろう、俊輔はだいじょうぶだよ、こんな風にしっかり自分を固めてるよ、とでも言われた気がしたんだろうか。

再びガリバルディ通りを目指し、明かりの灯りはじめた夕方の雑踏にまぎれる頃、私の気持ちも少しずつ上向きになってきた。
もともと立ち直りの早い私のこと、俊輔の気持ちを一通りなぞったあとは、うじうじしているのも悔しくなってくる。ここはひとつ明るいことも考えなくちゃ。
きっと、俊輔もこんなことの繰り返しなんだろうな、と思い至ると、逆に励まされたような気持ちになった。そうなんだ、負けてばかりはいられない。「次だよ、次!!」そんな声が聞こえた。



☆イタリアのCM
うさこさんとJとは夜7時に夕飯を食べに行こうと約束してある。まだ7時まで2時間以上余裕があるけど出かける気がしないので、ベッドの上に寝転んでテレビを眺めながらダラダラすることにした。午前中の寒さのせいで鼻がズルズルする。ヤバイなあ、風邪がぶり返したかしら。
それにしてもイタリアのテレビは料理番組が多い。食べることへの執着は日本よりも数段強そうだもんなあ。当然と言えば当然かも。

ところで、私は外国のテレビCMを見るのが大好きだ。なぜならテレビCMというのは、手っ取り早くその国の文化を垣間見ることができるから。大抵どこの国へ行っても「嘘だろー!」と叫びたくなるような日本の感覚からかけ離れたCMに遭遇するものだが、ここイタリアでも久々に私にとっての大ヒット作にめぐり合えた。

イタリアのテレビCMでぶったまげたのがケロッグのシリアル(オールブランだったと思う)である。これは本当にぶったまげた。
どんなCMかというと、、、

会社から帰ってきた旦那様がカバンと上着を放り投げ、ネクタイを外し、シャツのボタンを一つずつ外し、奥様の前で踊りながらストリップを始めるのだ(旦那様はステキな男性というわけではない)。
しかし、お腹が露になったところで、自分の腹の余計な肉をつまんで首を振り、そのまま立ち止まってしまう。
すると今度は奥様が脱ぎ始めるのである(奥様はそこそこの美人さん)。と言っても、もちろん全部脱ぐわけじゃあないんだけどね(当然だよ)。奥様はペタンコのお腹をしていて、「私がスリムなのはオールブランのお陰よ」と微笑むのである。

半年以上も前に見たきりなので多少記憶に間違いはあるかもしれないが、だいたいこんなふうなCMだった。日本ではケロッグのCMは爽やかな朝のイメージである。このCMが日本で流れたら視聴者がびっくり仰天しちゃうだろうなあ。オールブランとストリップを結びつけちゃうイタリアのセンスって凄すぎ。

どうでもいいけど、一般的なイタリア人夫婦というのは、このCMみたいに家庭で互いにストリップ・ショーを繰り広げていたりするのかしら・・・。そして二人で見つめ合って「あなたってセクシーでステキ」「君こそセクシーだよ」とか言っているのかしら・・・。
イタリア人に対する偏見かもしれないけど、普通にやっていそうで恐いよ〜。



☆J、レッジョの水道水に倒れる
テレビを点けっぱなしでベッドの上でうとうとしていたら、誰かが部屋を訪ねてきた。ドアを開けると、そこにいたのは脂汗を流したJだった。えらい顔色悪いぞ。どうしたの?

「なんか、腹が痛くてさ・・・。ずっと水道水平気で飲んでたんだけど、やっぱまずかったかな・・・」

なんですとー!? あれほどレッジョの水道水は海水と同じだから飲んじゃダメだって言ったのに、どうして飲むかなあ、このアンポンタンが!

「俺、今夜は夕飯パスするわ。ひどい下痢してて何も食べらんないから。あ、あと、これ」
Jが差し出したのは『地球の歩き方・イタリア』。私が持っているのは『地球の歩き方・南イタリアとマルタ』なので、ローマの情報がほとんど載っていない。レッジョの空港閉鎖のため列車でローマへ行かなくてはならなくなった私たちのために、わざわざ具合が悪いのにノエルからミラマーレまで歩いて本を持ってきてくれたのだった。
確かに昼間駅で列車情報を調べているときに貸してくれって言ったけどさ、そんなの電話してくれればこっちから取りに行ったのに・・・。見た目は変わっても、性格は相変わらずだなあ、J。

「薬もあるし、寝てれば元気になるから心配しないで」
そう言い残すとJはフラフラしながら帰っていった。明日はレッジーナ対パルマを観戦するというのに、本当に大丈夫なんだろうか・・・。

「明日の試合までに根性で元気になるのよ!!!」
Jの背中に向かって叫ぶとJは力なく右手を上げた。



<うさこのハイタッチ> スーパー「アマラント」?
Jさんが体調不良のため、今日の夕食はリーメイさんと二人。
場所は定かではないが、手紙を託されたKさんが教えてくれたホテル近くのレストランを探してみる。目印は店の前の植木。
きのうの散歩でそれらしいのに目をつけてたので、リーメイさんを案内する。が、店はまだやっていないようだ。8時からとのことで、まだ1時間もある。予約の必要はあるかと聞くと今日は祭日で込んでるからした方がいいとすすめられる。

予約をすませ、8時にまた来ることにして、その辺をまわることにした。
そういえば、きのうミネラルウォーターを買ったスーパーのウィンドウに俊輔の大きな写真が貼ってあったので、リーメイさんに見せてあげなくちゃ。
と言うことで、隣の通りへ。

あった、あった。プレー中の俊輔のサイン入り写真を前に、「このスペースにファミマのちらしも貼ってほしいわね」などと騒いでいると、中からお兄ちゃんが二人出てきた。この店の人らしい。

「ナカ、ナカ」と写真を指して声をかけると、ちょっと自慢げ。
リーメイさん持参のファミマのチラシを渡すと、「ここに貼るよ!」とうれしそうだ。

レッジーナと代表ユニの両方の俊輔が並ぶなんて、すてきじゃない!
改めてお互いナカファン同士と確認して大いに盛り上がる。

背の低い元気なお兄さんに「ナカ、好き?」と聞くと
目をいっぱいに見開いて「おお!熱狂的に(だと思う)好き!!」だって。

「明日は試合だよな?」
「そうよ〜。でもナカムラは出ないよね〜」と私。
「え、出ない?」
 一瞬顔が引きつるお兄さん。

「なんでだ?」
つめ寄られて、言ってしまった私も、ちょっとびびる。え、みんな知ってるんだと思った(汗)。
「足が痛いって・・・」
「え〜、うそだろ?ほんとに出ないの??え〜??」
胸ぐらつかみそうな勢いで迫るお兄さん。

「いや、わかんないけど、たぶん、出ないんじゃないかな?」
なんて微妙なとこまで私のイタリア語じゃ言えなくてあせる。
後ろのお兄さんと顔を見合わせて、一気に落ち込む熱血お兄さん。

「いやあ、わかんないのよ。思うだけ。」
心配になって必死にフォローする私。そんなに見たいんだ、俊輔のこと。(うれし涙)

なんとか流れ変えなきゃ(汗)。
「明日、スタジアム行くでしょ?」
「もちろん!!」
ここでお兄さん、顔を上げてやっとガッツポーズ。切り替えははやいらしい(苦笑)。

「クルバ・スッド(ゴール裏)?」
「そうさ!」
「じゃ、フォルツァ、レッジーナ!!明日スタジアムで会いましょう!!」

お互い気を取り直して元気に手を振って別れたのでした。
お義理の「ナカムーラ!」じゃなくて、本気で応援してくれてるサポに出会えて
不思議な連帯感でいっぱいになった私たち。



☆警報機を鳴らすジャポネーゼ
レストランがオープンするまで時間を潰さなくてはいけないので、昨日帽子を買った「OVIESSE」にまたやってきた。ここは値段も手頃だし、買い物しやすい雰囲気なので、ブラブラするには最適である。
ぬいぐるみ売り場には「キティちゃんもどき」や「ピカチュウもどき」が売られていた。うーん、惜しいなあ。似てるんだけど、ちょっと違うんだよね。

上の階から地下までくまなく見て回っているうちに閉店時間が迫ってきた。
そろそろ8時なのでレストランに行っても大丈夫そうだ。それにしても、腹ペコなのに8時までディナーを我慢しなくちゃいけないのがかなり辛い。きっと俊輔もイタリアに着たばかりの頃は、空腹を抱えながらレストランの開店時間を待ちわびた経験があるだろうなあ。
「お腹が空いたよぉ。もう限界」と涙目になっている俊輔を勝手に想像してニマニマしてしまう。

そんな楽しい妄想をしながら「さあ、飯だ、飯だ〜!」と勢いよくガラスの扉を押したその瞬間、耳をつんざくような凄まじい警報機の音が店中に響き渡った。思わず耳をふさいで飛び上がる私たち。

キャーーー!!! なになに? なにが起こったの? 万引き!? 強盗!?

しかし、店内を見渡してもそういう事件は起きて無さそうだ。
よく見てみると私が押した扉には赤いテープが貼ってある。どうやら閉店時間が迫ってきたので出口を制限していて、使ってはいけない扉には赤いテープが貼ってあったようだ。

ということは、警報機を鳴らしたのは、もしかしてこの私ですか・・・・・・?

たら〜っと冷たい汗が流れてくる。
えーん、だってそんなの気付かなかったよ〜!
単に入ってきたときと同じ扉から外に出ようとしただけなのよ〜!

鼓膜が破れるんじゃないかと思うような警報機の音は、いつまでたっても鳴り止まない。周りにいるレッジョの民たちの視線が突き刺さる。あちらこちらから「ジャポネ〜ゼ〜〜〜」という声が聞こえてくる。
「あ〜あ、日本人がやっちゃったよ〜」というニュアンスなんだろうな・・・。

店中の人たちに注目されること約3分。
やっと警備員みたいなオジサンが超不機嫌な顔でやってきた。オジサンは面倒臭そうに警報装置を解除すると、口をへの字に曲げたまま戻ってきた。

オジサン、恐そう・・・。でも、ちゃんと謝らなくちゃ・・・。
こわごわとオジサンに近付いていき、口の前あたりで両手を合わせて「スクーズィ(ごめんなさい)」としなを作る。試合中にファウルを犯した選手が審判にするのと同じポーズだ。
するとオジサンは一瞬にして両方の口の端を持ち上げ、先ほどの不機嫌な顔からは想像できない優しい顔で微笑んだ。ああ、イタリア男が女好きで良かったよ〜。(安堵の溜息)

デパートでこんな騒ぎを起して日本人の評判を一気に下げてしまった気がする。俊輔、ごめんね。
これからレッジョへ行く皆さん、閉店間際で赤いテープが貼ってあるドアを押さないように十分に気をつけましょう。



☆イギリス風ビストロでディナー
先ほど予約を入れたレストランの名前は「ロンドン・ビストロ」という。
店内は確かにブリティッシュ・バーみたいな内装なのだけど、漆塗りっぽい屏風が飾ってあったりしてオリエンタルな雰囲気も漂っている。ロンドンというよりも香港という感じ?
ちょっと変わった空間だけど、照明が押さえてあって不思議と落着く。

いつものように単品料理を3皿くらい取って2人でシェアしようと思っていたのに、ここのメニューはコース料理しかない。仕方がない。今宵も胃袋の限界に挑戦だ!
最初に物凄いボリュームの前菜の盛り合わせが出てきた。むちゃくちゃ美味しいけど、既にこれだけで満腹になりつつある。ヤバイぞ。

前菜を食べている時に、隣のテーブルにラブラブのカップルがやって来た。
お店の人が向かい合わせに席をセッティングしたのに、このカップルは少しでも近くにいたいから四角いテーブルの一角を挟んで隣り合わせにセッティングして欲しいとリクエストしてきた。
テーブルとテーブルの間隔は決して広くないので、そういう座り方をしたいのなら、私達のテーブルを少しずらさねばならない。
彼の方が「あなたたちの気に障るようでしたら、向かい合わせに座りますけど」ときれいな英語で私達の意向を聞いてきた。そんな紳士的な態度を取られたら文句なんて言えませんわ。
「構いませんよ。お好きなように」と私が答えた瞬間から、二人は手を取り合い、見つめ合い、ささやき合い、二人だけの世界に突入。見たくなくても彼女の方が双方のテーブルの間に座ってきたので、嫌でも二人の熱々振りが目の端に入ってしまう。あなたたちを見ているだけで、お姉さん、もうお腹一杯。

次に出てきたのはイカスミのスパゲッティ。巨大だ・・・。言葉を失う私たち。
メインは海の幸の盛り合わせ。前菜の拡大版みたいな感じ。魚もエビもムール貝もとっても美味しいのだけど、なんだか我慢大会に参加している気分になってきた。胃袋がはちきれそうだよ〜。苦しいよ〜。

「デザートはいかが?」と聞かれた時には思わず「私たちを殺す気かー?!」と叫びそうになった。カプチーノも辞退して、突き出た胃をさすりながらホテルに戻った。寝る前に胃薬を飲んだのは言うまでもない。



<うさこのキック・フェイント> 俊輔を励まそう!!
夕食をすませて帰る道、ある家の窓の前を通りかかると、中から明かりが漏れていて、電話の話し声が聞こえてきた。
耳を澄ませてみると、なんと、日本語。

「だからさあ、みんなでね、俊輔を・・・」

あれ、あの声、もしかして水沼さんじゃないの??
思わず窓の下にはりついてしまう。

「励ますためにパーティーやろうと思ってさあ。」

ええ? すご〜い。さすが水沼さんだあ。

「そいでねえ、せっかく、わざわざ遠くから・・」

なんて、なんて、やさしいのかしら(涙)

「来てるんだから、うさこさんたちも呼んだらどうかと思ってねえ」

え、え? なんて言ったの? 私たちもって・・?? 耳を疑う。

「じゃ、いいよね。決まりね。よろしくう」

ほ、ほんと?
やった〜!! 私たちも行けるんだって。う、うれしい。

思わず、ガッツポーズ。

「ばんざ〜い!!!!!」

と、飛び上がったところで、目が覚めてしまった。
なんだ、夢だったのか・・・・・・・。

ホテルの部屋はまだ薄暗い。
・・そうよねえ、水沼さんが私の名前を知ってるなんて、おかしいと思った。

でもねえ、どうせなら、パーティーが終わるまで夢を見続けたかったなあ。
そいでもって、思いっきり盛り上げてスンタン元気づけたかったなあ。
ばかなことでもなんでも、やっちゃったのに。どうせ夢なら。

夢が、それこそ「夢のよう」だっただけに、ちょっと落ち込んでしまったうさこでした。


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